十品詞分類表作成への足掛かり最終第三弾は「文節のはたらき」です。
一文節には必ずひとつ自立語が含まれると以前に解説しました。
文節内にある自立語には5つのはたらきがあるので、今回解説します。
まずは5つのはたらきをまとめて紹介しましょう。
1.主語になる
2.述語になる
3.修飾語になる
4.接続語になる
5.独立語になる
では一つずつ解説していきましょう。
1.主語とは、動作や行為をする主体のこと。簡単に言うと、「だれが」「なにが」のこと。
【例】
・彼が山田一夫さんです。の「彼が」
・東京は日本の首都である。の「東京は」
2.述語とは、主語が表す人やものの行為・動作、状態の変化や性質などを表します。
【例】
・有名な登山家がエベレストに登る。の「登る」⇐ 動作
・みかんが腐った。の「腐った」 ⇐ 状態の変化
・私の母は朗らかだ。に「ほがらかだ」 ⇐ 性質
3.修飾語とは、一言でいうと、他の文節をくわしく説明することばです。
具体的には、なにを、いつ、どこで、どんなふうに、などを表します。
主語-述語-修飾語でたいていの文節は説明できてしまいます。
なので
主語と述語以外は修飾語になる
と覚えておいても良いでしょう。
4.接続語とは、文と文、文節と文節などをつなぎ合わせます。
【例】
・斎藤茂吉は医師であり、さらに詩人でもあった。の「さらに」
⇐ 医師であることに詩人であることを添加し(付け加え)ています。
・寒いので、私たちは一日中室内で過ごした。の「寒いので」
⇐ 「寒いので」が原因・理由となり、その当然の結果として「一日中室内で過ごした」と続いています。
以上のような因果関係や添加などの要素を持つことばを接続語といいます。
5.独立語とは、他の文節となんらの関係も持たないものを言います。他の要素から独立しているのです。
【例】
・はじめまして。私は高橋ひろみと申します。の「はじめまして」
・八月十五日、この日は終戦記念日だ。の「八月十五日」
⇐ 上記の「はじめまして」「八月十五日」ともに句点(。)をその後に打つことができます。ここが重要なポイントです。
それ自体に句点を打つことで文として完結できるので『独立語』といいます。
文節のはたらきを一度理解してしまうと、接続語や独立語は特徴的なので(クセが強いので)、すぐに見分けられるようになります。
解説を読んでお気づきかと思いますが、接続語や独立語は主語・述語・修飾語に比べて登場する頻度が極端に低いですね。
なので、文節のはたらきの基本は主語、述語、修飾語だと理解してください。
≪文節のはたらきの見分け方≫
私が文節のはたらきを判断するときの手順を示しておきます。
ためしに問題を解いてみてください。
1.主語や述語の省略がないか確認する。
2.倒置(主語と述語をひっくり返したり、意図的に語順を換えたりすること)がある場合は、倒置のないノーマルな語順に戻す。
3.接続語と独立語がないか探してみる。文末の文節が述語となる。
4.文末の文節(一番最後の文節)が述語となる。
5.述語の主体がだれ・何なのかをとらえる。これが主語。
6.残った文節は修飾語。
【例題】
次の文を文節分けして、さらに文節のはたらきを見てみましょう!
「うわっ、寒いので、閉めるよ、この教室の窓を」
⇒ まずは文節分けしましょう。
うわっ、/ 寒いので /、閉めるよ /、この / 教室の / 窓を
1.主語の省略がありますね。窓を閉めるのは「私」ですから、
「うわっ、/ 寒いので /、閉めるよ /、(私は)/ この / 教室の / 窓を
2.倒置がありますね。ひっくり返しましょう。
「うわっ、/ 寒いので /、(私は)/ この / 教室の / 窓を / 閉めるよ /。
3.独立語「うわっ」と接続語「寒いので」を確定します。
4.残った文の最後の文節が述語「閉めるよ」(動作を表す動詞が入っています)
5.閉めるのはだれか? ⇒ 「私」ですね。これが主語
6.残ったのが修飾語。「この」は教室のことをくわしく説明し、「窓を」は閉める対象を表しています。
どうでしょう?そんなに難しくないですね。
では、問題プリントを配布しますので腕試しに解いてみてください。
3 文節のはたらき (基本レベル).pdf - Google ドライブ
3 文節のはたらき (標準レベル).pdf - Google ドライブ
3 文節のはたらき (上級レベル).pdf - Google ドライブ
今回のブログでは「文節のはたらき」について書きました。
これで単語を10個の品詞に分類する準備が整いました。
ただし、もう少し掘り下げておきたいテーマが2つほどあるので、それについて記事を掲出します。
・ 文節間の関係
・ 連文節という考え方
そのあと、いよいよ十品詞分類表の作成をします。とても有名な表ですが、ただやみくもに暗記するのではなく、しっかりと意味を理解した上で頭に入れると一生の財産になります。
ということで、次回もお楽しみに♪