ペンギン先生のブログ

個人レッスンプロ ペンギン先生の「学び」ブログ

失われた30年は経済成長だけではなかった

問題が変わらない以上、指導法も変わらなかったということ


高校を卒業して現役で都内の私立大学に進学したのは1990年のことでした。私は第二次ベビーブーム世代(1972年生まれ)なので、とにかく子どもが多く、何をするにも競争が厳しかった記憶があります。
今のような多様性が社会になく、ネット社会などほぼほぼ存在もしませんでした。
だから旧態依然の価値観が世の中を支配し、一つでも偏差値の高い中学高校から、有名な大学に進学し、いわゆる名の通った東証一部上場の企業に就職すれば人生は安泰だと、多くの人が思い込んでいた時代を生きてきました。

私もいつの間にか偏差値教育の渦の中に巻き込まれ、気が付けばよく分かりもしない『偏差値』という言葉を、さも分かった顔をして語っていたものです。

社会人になると、嫌が応にも学歴の話を聞かされることがたびたびありました。世の中には学歴によるあからさまな差別があり、学業成績以外の要素があまり評価されていない違和感というか、つまらない価値観に反抗したい気持ちというかを常に抱えて生きてきました。

さて、1995年にMicrosoft Windows 95が世に出ると、いよいよ情報化社会の幕が開きました。それまでメールなんてものは、コンピュータオタクの密かな楽しみみたいに考えられていたものが広く一般人にも浸透し、その後仕事をする上で欠かせないものになっていったのです。

IT社会の到来に伴う働き方への変化が急激に進むにつれて、いわゆる日本型の経営では世界との熾烈な戦いに勝てなくなっていきました。そういう時代の変化とともに求められる人材は絶対に変化するし、”使える人材”を育成すべく教育も当然変わるだろうと思っていました。

 

しかし!実際の教育はビックリするほど変わらず、古臭いままでした。


最近、反自民党の政党や経済評論家らが「日本は過去30年間経済成長しなかった」と叫んでいますが、私からすると経済成長だけにとどまりません。教育もまたこの30年間、ほとんど進歩しなかったのではないかと思えてなりません。

その格好の一例は大学入試センター試験でしょう。私が受験したのは1990年1月の記念すべき第1回試験でしたが、大学入学共通テストに移行するため終了を迎えた2020年1月までの31年間、ほとんど見た目も出題形式も問題のレベルも変わりませんでした。
開いた口が塞がらないとは正にこのこと。2020年とは令和2年のことです。

なぜこのことに気づいたかというと、2020年に私の教え子が最後の大学入試センター試験を受験したので、過去問対策をする際に問題を見てビックリしたのです。
国語・英語・数学の問題を開いた瞬間、「あれ、どこかで見た覚えがあるなぁ」と思いました。しかしその問題は2019年の過去問だったのです。私はドイツに移住してから専ら小中学生の帰国子女入試対策と、インター校に通う高校生のJapaneseやEssayの指導をしていたので、久々に大学入試センター試験の問題を見て愕然としてしまいました。

私が1990年に受験したのと同じような試験を、令和の時代に受験しているなんて時代遅れも甚だしいと思いませんか?

これで世界を相手に戦える人材を育成できると思いますか?

私が「今の学校教育、特に公立の学校教育では、変化が激しく、将来が不確実で、予見不能な時代を生き抜く人材の育成は期待できない」との感を強くしたのは、これがキッカケでした。

もちろん学習補助や受験対策を担当する以上、結果は出さないといけない。そうでなければレッスン料を頂く資格がないでしょう。
しかし、私が35年前に受けていたような指導でははっきりダメだと断言できます。


ならば、偏差値を上げましょう、そして第一志望校にも受からせましょう。

でもそれだけではなく、今の時代そしてこれからの未来を生き抜く力も身に着けられるような指導をしようと決意しました。

具体的にいうと、今の生きた情報をもとにした教材選びと科目縦断的な広い知識の獲得、そして自分で問題を提起し、自分なりに解答を見つけ出そうとする気持ちの醸成と、自分なりに答えを見つけ出そうと努力する力を養うことです。

私が学生の頃、常に問題に対する答えがありました。問題とそれに対する模範解答をしっかりインプットして、テストの時にきっちりアウトプットすれば成績は向上し、試験に合格できたのです。社会人になってもそのやり方でなんとかなりました。
しかし、今はそういう時代ではありません。正解なんて見つからないかもしれないし、そもそも存在しない可能性すらあるのです。
そういう時代を生き抜くための力を養う教育が、まさか30年前と同じだとは誰一人思わないでしょう。

 

私はこれからも

学力を上げることと、第一志望校に合格することにこだわりますが、

それと同時に、

今をそしてこれからの時代を生き抜くための力をつける教育にこだわっていきたいと考えています。