【目次】
・連文節とは
・連文節のはたらき
・問題プリントで知識を確認
文節のはたらきを解説して問題を作る時に困ることがあります。
以前の記事「文節のはたらき」のところで出てきた
・補助-被補助の関係
・接続-被接続の関係
が文中にあると、述語などがうまく説明できないのです。
たとえば、
「母は手紙を書いている」という文があります。
「書いて」と「いる」の間に「補助-被修飾の関係」がありますね。
ではこの文の述語は何だか分かりますか?
倒置がない時は最後の文節が述語だと考えると、「いる」が述語になります。
「母は」が主語で、「いる」が述語です。これで良いのでしょうか?
これは例えば「母は台所にいる」という文であれば、主体の存在を伝えており有効ですが、ここでは母が手紙を「書いている」という動作の進行形を伝えているのです。
そう、述語は「いる」ではなく「書いている」であるべきです。
しかし、文節分けをすると「書いて/いる」と2文節になってしまうので、述語=最後の文節だと定義してしまうと上手に述語が表現できません。
そこで、2つの連続する文節「書いている」をまとめて述語にしてしまおう!という発想が生まれました。
この場合、正確な文法用語としての「述語」という言い方ができないので、述語を表すかたまりという意味で述部ということに決めました。これが連文節という考え方です。
ここであらためて『連文節』を定義します。
連文節とは、連続する二つ以上の文節がひとつのかたまりとなって文節のはたらきをするもの、のことを言います。
特に、「被」がつく文節間の関係がある場合は連文節の考え方を用いないと、文の構造をうまく説明できないことが多いです。
さぁもう一度、文節のはたらきを復習しましょう。
全部で5つのはたらきがありました。
1.主語になる
2.述語になる
3.修飾語になる
4.接続語になる
5.独立語になる
連文節は連続する2つ以上の文節がセットになって文節のはたらきをするので、
1.主部になる
2.述部になる
3.修飾部になる
4.接続部になる
5.独立部になる
文法の解説の初期に、どうしても連文節の考え方を導入したいのは「接続-被接続の関係」や「補助-被修飾の関係」が文の中に含まれるとき、解説が難しくなるからです。
以前の文節のはたらきの基本問題を例に一緒に考えてみましょう。
寒かったけれど、天気は良かった。
この「寒かったけれど」は一文節(3単語)から成る接続語ですが、連文節の考え方を用いないと、これ以上の発展的な問題は作れなくなってしまいます。
たとえば、
外はとても寒かったけれど、天気は良かった。
この文には「外は(主語)/とても(修飾語)/寒かった(述語)けれど」と、主語、述語、修飾語のいずれも含まれますが、全体で逆説的な接続語の役割があるのです。
ですので、「外はとても寒かったけれど」の3文節をまとめて一つの接続部という連文節と考えるのが最善なのです。
どうです、分かっていただけましたか?ちょっとむずかしいですね。
他の例を挙げます。
桜の花が咲く春がいよいよやってくる。
この文には「主語-述語の関係」が2つ含まれます。
すなわち、「花が-咲く」と「春がーやってくる(述部)」です。
一番重要な「主語-述語の関係」は後者です。
となると、連文節の考えを用いて以下のように文の構造を捉えるべきです。
桜の花が咲く春が(主部) / いよいよ(修飾語・部) / やってくる(述部)。
ここで二つ注意すべき点を書いておきます。
一つ目は修飾部についてです。
修飾語には2つのタイプがあって、体言を修飾する連体修飾語と、用言を修飾する連用修飾語とに分類されます。
ここで連体修飾語は、その被修飾語とセットの連文節に取り込まれてしまうので修飾部にはなりません。
修飾部というのは連用修飾に限って登場します。先の文の「いよいよ」がこれに当たります。
【例文】
父は新しい車を買った。
➡ 父は(主語) / 新しい車を(修飾部) / 買った(述語)。
「新しい車を」は動詞(述語)「買った」の目的語(対象となるもの)ですので、連用修飾語です。ここでは「新しい/車を」と二文節でまとまって「買った」の目的語となっているので修飾部となります。
二つ目の注意点は「並列の関係」が成り立つ場合です。
二つ以上の文節が並列・対等の関係にある場合、片方の文節だけの役割を考えるのはおかしいですね。二つ以上の文節が等しい役割を果たすのですから。
なので、これらはひとまとまりの連文節として役割を考えるようにしてください。
【例文】
子どもが大好きな食べ物、それはハンバーグ、カレーライス、スパゲッティだ。
➡ 子どもが大好きな食べ物(独立部)、それは(主語) / ハンバーグ、カレーライス、スパゲッティだ(述部)。
文頭の「子どもが大好きな食べ物」は修飾語が複数くっついた長い一つの名詞が他の文の要素と独立して提示されています。これは独立部といいます。
さらにハンバーグとカレーライス、スパゲッティが並列の述語となっているので、これを述部とします。
今回の解説は以上となります。
連文節という考え方を用いないと正しい文構造がつかめないので、ここで思い切って解説してみました。
小中学校の文法学習では省かれてしまいがちですが、文法の正確な理解のためには避けて通れません。
では最後に問題プリントにチャレンジして知識の定着度をご確認ください。