今回のテーマは連体詞です。読んで字のごとく「連体修飾する品詞」です。
定義づけすることから始めます。
連体詞とは、自立語で活用がなく、それ自体で名詞を修飾する連体修飾語になることのできることば
のことをいいます。
動詞・形容詞・形容動詞にも連体形があるので、名詞を修飾することができます。しかし、これら用言には活用があるのです。
連体詞には活用が無いので、これが品詞判別の重要なポイントとなります。
では連体詞の具体的な例とはどのようなものでしょうか?
・飛ぶ鳥 ☞ 「飛ぶ」は動詞の連体形
・広い庭 ☞ 「広い」は形容詞の連体形
・華麗な技 ☞ 「華麗な」は形容動詞の連体形
ですから、名詞を修飾しているからといって連体詞と決めつけてはいけません。
はて、用言を除いたら何も残らないのでは?と思った人もいるでしょう。
今回もちょっとしたフレーズをご紹介します。
実は連体詞のパターンは決まっているのです。そのパターンを身に着けてしまえば、見た瞬間に「あっ!連体詞だ」と見分けがつくようになります。
ではその魔法のフレーズをご紹介します。
『たながのる』(棚がのる)
です。たったの5文字です(笑)
連体詞はタイプ別の最後の文字(語尾の文字)をとって『たながのる』でマスターします。
すなわち「た」型、「な」型、「が」型、「の」型、「る」型の5つです。
具体的に例を挙げながら解説します。
1.「た」型 … 大それた、たいした、とんだ(濁点化しています)
2.「な」型 … 大きな、小さな、おかしな、いろんな
3.「が」型 … わが、汝が(なんじが)
4.「の」型 … この、その、あの、どの、例の、ほんの、当の
5.「る」型 … 或る(ある)、去る(さる)、来たる(きたる)、いわゆる、あらゆる
どれも名詞を修飾することばですが、活用がないことをご確認ください。
まさか「とんだ」は「かもめが飛んだ」のような動詞とは意味合いが違いますね。
ここでの意味は、話し手の判断の範囲を越えている、ということです。
また、「大きな」と「小さな」は形容詞「大きい」と「小さい」と混同しがちです。「大きい」と「小さい」は『打たない鳴るときは』によって語尾が変化する活用語です。
しかし、連体詞の「大きな」と「小さな」には活用が一切ありません。ご注意ください。
上級者編
もう一段上級の解説をします。
それは「こんな」「そんな」「あんな」「どんな」という『こそあど』ことばです。
名詞を修飾し、活用もありませんから連体詞だと思う人が多いでしょう。
しかし、文法の難しいところではありますが、これらは「こんなだ」「そんなだ」「あんなだ」「どんなだ」という形容動詞の活用語尾が落ちてしまったものだと解釈します。
「こんなだ」「そんなだ」「あんなだ」「どんなだ」は『打たない鳴るときは』によって語尾が活用変化しますが、体言を修飾するときは「こんなな」「そんなな」「あんなな」「どんなな」とはならずに、語尾を落として語幹だけで修飾します。すなわち、「こんな」「そんな」「あんな」「どんな」となります。ここが引っ掛けポイントになっていますので、くれぐれもご注意ください。
今回の解説はここまでです。
連体詞そのものの学習は内容もボリュームも大したことがないのですが、他の品詞、特に用言や副詞との判別がポイントになります。
今回も問題プリントを用意しましたので、知識の定着と確認のためにぜひ解いてみてください。
問題プリント
Youtubeではホワイトボードに書き込むスタイルで動画にしてあります。
こちらもどうぞご覧ください。