ペンギン先生のブログ

個人レッスンプロ ペンギン先生の「学び」ブログ

ことばのまとまりから始めよう

現代口語文法の具体的な学習を始めましょう。

初回の解説は、ことばの単位です。

「単位」などという用語が出てくるといかにも「文法」という感じがして

堅苦しく感じると思いますが、要は「ことばのまとまり」です。
一番大きなことばのまとまりは「文章」で、一番小さなまとまりは「単語」です。

 

一行でまとめると、大きなまとまりから順に

文章 ⇒ 段落 ⇒ 文 ⇒ 文節 ⇒ 単語

となります。

【注意】文法の学習では、「文章」と「文」をはっきり区別します。

1.文章・・・たくさんの文から成り、一つの題のもとに書かれた内容にまとまりを持つもの。

定義を暗記するよりも、小説や童話、評論文や論説文、随筆や報道文などのことをいうと理解してください。

 

2.段落・・・一つの文章は最初から最後まで単純な文の連続ではなく、いくつかの大きな塊から成っています。それを段落と言います。

よく「文章には起承転結がある」と言われますが、何についてその文章が書かれるのかテーマを掲げ(起)話題を広げ(承)逆説的な内容や意外な展開を見せ(転)最後にオチがつく(結)

といった書き方をする場合、以上の起・承・転・結で段落分けすれば良いと考えられます。

段落をどこで区切るかは作者自身の考えが反映されており、一つの決まった区切り方があるわけではありません。

 

3.文・・・一つのまとまった意味や考えを表した一続きのことばを言う。文はことばの基本的な単位であり、文の最後を句点(。)で締めます。

要するに句点(。)で区切られたものということ。

ただし、疑問を表す疑問文の文末には疑問符(?)がつき、また驚きや感動を表す感嘆文の文末には感嘆符(!)がつくこともあります。

 

4.文節・・・文を意味の上で不自然にならないように区切った最小のまとまり。

小学校の文法学習では、「ヨ」「ネ」「サ」を補って調子のよいところで区切る、と教わります。それで結構なのですが、いかにもあいまいですよね…

例えば、ぼくは昨日、太郎君と公園でいっしょに遊んだ。の文を文節分けしてみましょう。

ぼくは / 昨日 / 太郎君と / 公園で / いっしょに / 遊んだ
という感じで、/ の後に「ヨ」「ネ」「サ」を補って声に出して読んでみましょう。

調子がつかめると思います。

意味の壊れない範囲でギリギリまで区切ったものですが、実はこの文節分け、口で言うほど簡単ではありません。

次の「単語」まで取りあえずの解説をした後、くわしいやり方を説明します。

 

5.単語・・・これ以上切断してしまうと、もはや文の中で意図された意味が失われてしまう・変わってしまうことのないように区切ったことばの最小のまとまり。

理科の学習でいうところの原子みたいなものでしょうか?

注意が必要なのは、これ以上切断できないギリギリの最小単位なので、いまだ切断可能な余地を残してはいけません。

例えば、ぼくは / 昨日 / 太郎君と / 公園で / いっしょに / 遊んだ。の場合、
文節「ぼくは」を「ぼく」と「は」に区切ってあげないと、「ぼくは」がこれ以上切断できない最小の単位になってしまうので、「ぼくが」「ぼくと」「ぼくも」などの表現ができなくなってしまいます。まさか「ぼくはが」「ぼくはと」「ぼくはも」とは言いませんよね。

 

文節の分け方

本格的に文法学習を始めたばかりなのに、いきなり難題に取り組まねばなりません。

実は文節分けがすばやく・正確にできるようになったら、文法学習の免許皆伝なのです。

小学生に文法の解説をすると、「先生、文節分けの問題を全問正解できません」と暗い表情をして打ち明けてくる生徒さんがいますが、それが当然の姿だと思います。

なにせ文法学習の最初の学習単元でありながら、実は最終目標の一つなのですから!

「ヨ」「ネ」「サ」を補って切断するだけでは100点満点は取れません。

では100点に近づけるためのポイントをいくつかお伝えしましょう。

最初は「何のことだか?」と思うかもしれませんが、定期試験で点数を手っ取り早く取りたいなら、以下の点を暗記してください。グンッと成績が伸びます。

 

1.固有の名詞や複数のことばが合体してできたことばは切断しない。

例えば、東京大学という大学があります。これを「東京」と「大学」には分けません。
ここでいう東京大学とはいわゆる東大のことで、世界に一つしかない日本の国立大学の名称です。「東京」と「大学」に分けてしまったら、国立大学としての東大の意味が失われてしまいます。
こういう名前を表すことばを名詞といいますが、複数のものがくっついて一つの固有の名称を表す場合、一くくりにします。「東京大学」で一単語となります。

名前を表すことばだけとは限りません。
例えば、「買い足す」「食べ終える」も一くくりの動作を表すことばです。

決して「買う」と「足す」、「食べる」と「終える」と分けませんのでご注意ください。
ただし、「買って足す」や「食べて終えた」となれば話は別。

⇒ 買って / 足す、食べて / 終え た
と文節分けします。

2.「この」「その」「あの」「どの」が出てきたらそこで切断せよ。

いわゆる「コソアド言葉」の代表例である「この」「その」「あの」「どの」は文法的には連体詞といい、名詞の前に置かれます。後で解説しますが、一つの文節に含まれる自立語は一つしかありません。
テスト対策としては、「この」「その」「あの」「どの」のところで切断する、と覚えておきましょう。

 

3.「~て(で)いる・ある・おく・しまう」などの動詞表現では、「て(で)」の後で切断する。

「いる」「ある」「おく」「しまう」「やる」などは動詞ですが、ここでは本来の意味を失っています。
例えば、「書いておく」というのは、「書く」という動作に「おく」を加えることで、「書く」行為を何かの準備や予防などのために予めやる意味合いを付け足しているのです。「テーブルの上に本を置く」の「置く」とは明らかに意味がちがいます。

こういう動詞を補助動詞(形式動詞)と言います、本来の意味を失った動詞だからといっても、動詞は動詞。一つの自立語で単語分けするのが決まりですから「て(で)」で切ってあげてください。

他に補助形容詞(形式形容詞)のパターンもあり、代表的な例は

「きみに来てほしい」の「ほしい」です。
「新しい辞書が欲しい」の「欲しい」とは意味がちがいます。

後の例文ではモノである辞書が「欲しい」のですが、先の例文では「きみが来ること」を望んでいる(「ほしい」)のです。

文節分けはそれぞれ、

きみに / 来て / ほしい

新しい / 辞書が / 欲しい

となります。

ちなみに、補助動詞(形式動詞)や補助形容詞(形式形容詞)には漢字を当てません。ひらがなで書くのが原則となります。作文を書く時に役立つ知識ですね。 

 

Youtube動画でも解説をしています。ぜひご視聴ください。


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ここまでの知識を確認するために、問題プリントを用意しました。
レベルは基本・標準・上級と3つあります。チャレンジしてみましょう!

1 文節分け (基本レベル).pdf - Google ドライブ

1 文節分け (標準レベル).pdf - Google ドライブ

1 文節分け (上級レベル).pdf - Google ドライブ